Amazon(アマゾン)はスクレイピング禁止?違法性や注意点を詳しく解説
Amazonのスクレイピングは「やってはいけないのか」「違法なのか」で悩む人が多いテーマです。結論から言うと、Amazonは利用条件上、データマイニングやロボット等による自動取得を明確に禁止する趣旨の条項を置いており、少なくとも規約違反リスクは高い領域です。一方で、規約違反=直ちに刑事罰(違法)と短絡できるわけでもありません。本記事では、規約・法律・実務リスクを分けて整理し、現実的な代替策まで解説します。
結論
Amazonのスクレイピングは「規約上は原則NG」と考えるのが安全です。Amazonの各種サービスの条件(Conditions of Use系)には、「data mining, robots, or similar data gathering and extraction tools(データマイニング、ロボット等の収集・抽出ツール)」の利用を含まない旨の条項が確認できます。Amazon(例:Amazon Freight)Conditions of Use、Amazon Relay Site Termsなどで同趣旨の記載が見られます。
ただし、規約違反と刑事上の「違法(犯罪)」は別物です。実際に問題になるのは、ログイン突破や認証回避などの「アクセス制御の突破」、大量アクセスによる業務妨害、転載・再配布、競争法領域(限定提供データ等)など、周辺行為を含めた総合リスクです。
禁止の根拠
利用規約の位置づけ
Amazonはサービス条件(Conditions of Use / Site Terms 等)で、ユーザーに付与する「アクセスのライセンス範囲」を定めています。そこに「データマイニング、ロボット、類似のデータ収集・抽出ツールの利用を含まない」という形式の条項があり、これがスクレイピング禁止の中核根拠として扱われます。freight.amazon.com
公式ドキュメントによると、ライセンスには「data mining, robots, or similar data gathering and extraction tools」の利用が含まれない旨が明記されています。relay.amazon.com
また、AWSのサイト利用条件にも同趣旨の条項があり、Amazonグループは一般に自動取得への制限を強く設ける傾向が読み取れます。aws.amazon.com
robots.txtは法的強制力?
robots.txtは「クローラーへの指示(慣行)」であり、それ自体が法律ではありません。ただし、訴訟や交渉局面では「禁止意思の表示」として参照されることがあり、規約違反の補強材料になり得ます(技術的・契約的な意味でのリスク要素)。
「robots.txtで許可されているからOK」「ブロックされていないから合法」といった判断は危険です。規約条項・アクセス方法・取得後の利用方法(再配布等)まで含めて評価する必要があります。
違法性の整理
規約違反は民事リスク
規約違反は基本的に契約違反(民事)の問題です。Amazon側は、アクセス遮断、アカウント停止、警告通知、損害賠償請求などの対応を取り得ます(実際に行使されるかは別として、リスクは残ります)。
不正アクセスに注意
日本で特に注意したいのは、ログイン必須領域やアクセス制御のある領域に対して、認証回避・制限回避を伴う取得を行うケースです。制度の詳細は個別判断が必要ですが、経済産業省・警察庁・総務省は不正アクセス対策の公表・取りまとめを継続しており、アクセス制御の重要性を強調しています。meti.go.jp
ログイン突破、トークン不正取得、CAPTCHA回避、ブロック回避を目的とした仕組みの導入などは、規約違反の域を超えて評価される可能性があり、最も避けるべき領域です。
著作権・DB権の観点
一般論として、単なる事実データそのものが常に著作権で保護されるわけではありません。一方で、データベースは「情報の選択又は体系的な構成」に創作性があれば保護対象になり得ます(データベースの著作物)。forest.watch.impress.co.jp
Amazon上のコンテンツには、商品説明文、画像、レビューなど著作物性が問題になり得る要素が多く、取得後に転載・再配布するとリスクが増えます。
競争法・データ保護
事業での収集・再利用では、不正競争防止法の「限定提供データ」等の枠組みが論点になることがあります。経済産業省は限定提供データに関する指針を改訂している旨を案内しており、データ利活用の場面では競争法側の検討も必要です。ipa.go.jp
よくある誤解
公開ページなら合法?
公開ページでも、規約で自動取得を禁じていれば規約違反になり得ます。また、取得のやり方(負荷・回避行為)や、取得後の使い方(転載・再配布・学習データ化等)次第で別リスクが発生します。
米国では「公開情報のスクレイピングとCFAA(不正アクセス法)の関係」が争われたhiQ v. LinkedInが有名ですが、これは米国法・特定事案の話であり、日本の実務判断をそのまま置き換えるのは危険です。なお、同判決は「公開情報へのアクセスがCFAAの『without authorization』に当たりにくい」という方向性を示した議論として参照されます。eff.org
ブロックされないならOK?
技術的にブロックされないことは、許諾の根拠にはなりません。むしろ大量取得は検知されやすく、IPブロックや追加認証が入るのが一般的です。
実務上の注意
やるなら最小化
- 取得対象は必要最小限(項目・件数・頻度)に絞る
- 再配布・転載(特に画像・説明文・レビュー)は避ける
- 個人情報やアカウント情報に関わる取得はしない
- ブロック回避や認証回避はしない
「規約違反でもバレなければいい」という発想は、プロダクトや事業の継続性を毀損します。停止された瞬間にKPI・売上・運用が止まる設計は避けてください。
公式手段の検討
アフィリエイトや商品情報連携の用途では、Amazon側が用意するAPIやデータ提供の枠組みを優先すべきです。Amazon Associatesでは、Creators API等の更新が告知されており、プログラム上のデータ取得は規約とセットで運用するのが基本になります。affiliate-program.amazon.com
代替策の比較
Amazonの価格・在庫・商品情報を継続的に扱う場合は、目的に応じて「取得手段」と「利用範囲」を設計し直すのが現実的です。
| 手段 | 規約リスク | 安定性 | 向く用途 |
|---|---|---|---|
| HTMLスクレイピング | 高い | 低い(ブロック・仕様変更) | 短期検証(非推奨) |
| 公式API/公式提供 | 低い(規約順守前提) | 中〜高 | 事業運用、長期運用 |
| 許諾取得(契約) | 最も低い | 高い | 大規模なデータ利活用 |
| 第三者データ/ツール | 中(提供元の適法性次第) | 中 | 価格監視、競合調査 |
コード例
以下は「技術的には取得できてしまう」例です。ただし、Amazonに対して行うことを推奨するものではありません。実運用では、対象サイトの利用条件と法務判断を優先してください。
import time
import requests
url = "https://example.com" # 実運用でAmazonを対象にしないでください
headers = {"User-Agent": "Mozilla/5.0"}
resp = requests.get(url, headers=headers, timeout=10)
print(resp.status_code)
# アクセス頻度を下げる(負荷軽減の基本)
time.sleep(2.0)ポイントは「取得できるか」ではなく、利用条件に反していないか/アクセス制御を回避していないか/取得後の利用が適法かです。
FAQ
価格だけならOK?
価格という事実情報だけを扱うつもりでも、取得手段が規約違反になり得ます。また、Amazon側の条項では「価格等の収集・利用」や「データ抽出ツール利用」を広く制限する趣旨の文言が見られます。relay.amazon.com
研究目的なら許される?
研究目的でも、規約違反リスクは残ります。公的・学術研究は社会的に許容されやすい場面もありますが、免責ではありません。対外公表する研究なら、許諾取得や公式データの利用を優先するのが安全です。
ブロックされたらどうする?
回避を試みるのではなく、取得方式の見直し(公式API、契約、第三者サービス)に切り替える判断が現実的です。回避行為はリスクを増幅させます。
価格監視を自動化しませんか?
Amazonの価格監視を継続運用するなら、ブロックや仕様変更に強い専用ツールでの自動化が有効です。運用負荷とリスクを抑えつつ、必要なデータだけを安定して取得できます。
まとめ
- AmazonはConditions of Use等で、ロボットやデータ抽出ツールによる自動取得を禁止する趣旨の条項を置いており、スクレイピングは規約違反リスクが高い
- 規約違反=即違法ではないが、アクセス制御回避、過負荷、転載・再配布、競争法領域などが重なるとリスクが急上昇する
- 長期運用なら、公式APIや許諾取得、適法性を担保した第三者サービスの活用を優先するのが現実的